製造セッション
多様化する顧客ニーズ、製品開発サイクルの加速や製造コストの高騰など、近年の製造業界における様々な課題に対応するため、多くの企業がワークフローの改善に着手しています。製造セッションでは、この課題にお答えするソリューションとして、Autodesk Inventorの新機能を活用した導入事例を中心に、実際にオートデスク製品によるワークフロー改善に取り組んだユーザの方々からお話を伺いました。
D-1
2D & 3Dが融合した設計・エンジニアリング ワークフローの実現
- ものづくりにおけるデジタル デバイドの解消を目指す
有限会社 坂井技研
取締役 坂井 政夫 氏
オートデスク株式会社
製造ソリューション
中山 圭二
オートデスクが提唱する2次元と3次元が融合した設計環境は、現在どのような効果を上げているのか。
本セッションでは機械・ソフトウェア開発などを手がける坂井技研の坂井政夫氏は、図面は製作物として2次元であるが、設計構想やイメージ作成に3次元CADを利用する事で得られる効果について語りました。
坂井氏は、Autodesk Inventorで、デジタルプロトタイプを含めたフローを導入する事で、設計段階のミスが減り、
顧客とのスムーズな意思疎通や納期の短縮、事業リスクの回避を実現し、機械設計において3次元化するメリットが高くなっていると語りました。また、パーツモデリングやアセンブリなどのデモンストレーションがあり、ユーザの立場から効果的な利用方法を紹介しました。
オートデスクからは、Autodesk Inventor 2010に加わったレイアウト設計やシュリンクラップ等の新機能が紹介、坂井氏も非常に興味深い機能だとコメントが出るなど、Inventor 2010への大きな期待が寄せられた。
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D-2
Autodesk Inventor に統合された CAE ソリューション
- 設計者のための解析活用法
オートデスク株式会社
製造ソリューション
長谷川 英紀
従来の開発工程では、物理的試作品を作成し、製造の後工程で不具合が発見されることで、開発サイクルの遅延やコスト高などの問題が発生していましたが、Autodesk Inventorに統合されたCAE構造解析機能で、解析結果に基づいた設計の最適化が行なわれます。本セッションでは、オートデスクよりInventorに搭載された解析機能・アダプティブp-h法の精度管理についてデモを交えて紹介、続いてInventorユーザである大手家電メーカのビデオレターにて、Inventor導入を決めた理由が紹介。コストパフォーマンスと使いやすさと語り、WordやExcelと同じ要領でInventorの解析機能が使える利便性を高く評価していました。
さらに、解析関連のコンサル業務を展開する株式会社C4 冠者 実氏によるプレゼンテーションでは、正しいCAEツールの選び方、選択されたツールの正しい使い方について、条件の異なるさまざまな企業の貴重な実例が多く紹介され、これからの設計において解析との連携が不可欠であると語りました。
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D-3
プラスチック部品の開発における 3D モデルと樹脂流動解析の活用
オムロン株式会社
ものづくり革新本部 評価・解析センタ 解析技術グループ
主事 土井 博行 氏
オートデスク株式会社
モールドフロー
梅山 隆
今後の製品開発のトレンドである軽量化、エコロジーの観点から、金属部品から樹脂部品への代替が増えていくと言われています。本セッションでは、オートデスクによる樹脂部品開発の現状と今後の展望から始まり、樹脂部品開発で頻発する問題点(ショートショットや反り変形等)と、その効率的な検討方法をオートデスクが提供するAutodesk Moldflowの活用を例に説明しました。また、開発・設計工程でMoldflowを活用するメリットについては、オムロン株式会社 土井博行氏から、過去の事例に基づいて紹介しました。樹脂流動解析を使用し始めると、ソフトウェアが算出した計算結果に振りまわされてしまう事が多いが、問題解決の為の“魔法の杖”ではない事を強調。さまざまな計算条件の誤差を認識した上で、対策の方向性を検討する為のツールとして活用すべきと語りました。
D-4
ものづくり工場のメンテナンスを効率化
- 2D & 3D モデル データと設備の付帯情報を一元化
オートデスク
製造ソリューション デジタルファクトリー
サイモン・ウー(Simon Ng)
同時通訳
機能的な生産ラインを仮想空間上に具現化するデジタルファクトリ ソリューションによって、より安全で生産性の高い工場を実現します。このセッションでは、Autodesk Navisworks Manufacturing を使用して、単一のデータ ファイル上に工場全体の3D形状を構築することによってファクトリ設計の生産性を向上し、収益性の拡大につなげる取り組みを紹介しました。製造ラインの新規設計および改変時に発生するコストおよび工数の増加など、様々なビジネス上の課題はデジタルによるシミュレーションで解決できます。そのためには、さまざまな異なるCADを使用して設計された、プロジェクトごとのデータを変換することなくNavisworksの単一ファイル上に配置してすぐに検証する事で、より迅速、正確に工場空間を可視化し、干渉をチェックし、時間軸も含めた動作シミュレーションにより装置間の衝突や空間の制約を検出することで、理想的な工場モデルを追求することができます。このようなオートデスクの最新テクノロジーを、海外における高い実績とその実例を交えながら語りました。
G-1
Autodesk Moldflowに関するご紹介
オートデスク株式会社
モールドフロー
鍛治屋 清二
解析ツールの新たな活用術のご紹介
不二精機株式会社
松山工場 IT戦略室
宮崎 和哉 氏
オートデスクの製造ソリューションが提唱する「デジタルプロトタイプ」を、樹脂製品開発において実現する為に、必要不可欠なAutodesk Moldflow製品。新パッケージについてモールドフロー本部長の鍛治屋清二が説明しました。
さらに、これらの解析ツールを経営的に活用する為のポイントについて、不二精機株式会社の宮崎和哉氏による「解析ツールの新たな活用事例;経営に貢献するCAE」と題した、モールドフロー活用事例を紹介。収益を上げる為のCAE活用とは、開発の目的を明確にし、事前の検討を十分に行う事から始まります。例えば、材料の使用量を減らすことを目的とした金型設計では、ランナー部の最適化(充填圧とランナー径のバランス)にCAEを活用し、かつサイクルタイムを削減するなど、CAE事前検討のメリットについて説明しました。
G-2
自動車用大型部品をはじめ、
精密部品のモールドフロー活用事例をご紹介
株式会社ニコン
映像カンパニー 生産本部生産技術部
小出 小夜歌 氏
オートデスク株式会社
モールドフロー
堀内 達司
デジタルプロトタイプを実現する為の、樹脂流動解析の活用ポイントについてオートデスクモールドフローの堀内達治が紹介。特に自動車部品の開発では、樹脂化が多岐にわたり、試作工程削減が必須になっている。樹脂流動解析を活用して試作工程を代用するためには、解析モデル・成形条件・樹脂データなど基本的な解析条件の確認が必要と説明。
次に株式会社ニコンの小出小夜歌氏より、精密部品の開発に求められている開発期間の短縮と開発コストの低減の実現を目的とした、Autodesk Moldflowの活用事例を紹介。解析結果と実機との比較を行う事で、モデルタイプ別に必要な解析条件の精度が認識でき、かつ開発部品ごとに解析活用が容易な部品なのか、不向きな部品なのかを事前に把握し、後工程の担当者と認識を共有することができました。解析活用の容易性に関する情報共有は目的を達成する為に有効であると紹介しました。