Revitクラス編
Revitクラスは、Autodesk Revit ユーザ会(RUG)のメンバーによって、建設業界で大きな注目を集めている BIM の最新情報をはじめ、Revit と解析系ソフトウェア連携の紹介、Revit 運用テクニック、社内に BIM を浸透させるためのポイント、Revit を使ったビジュアルな提案書の作成手法など 5 つのクラスと、5 つのハンズオンクラスを開催。どのクラスも、ユーザの経験値として大変興味深いトピックが語られ、全国から集まった受講者は、熱心に聴き入っていた。G クラスのアンケートでは、84.8%の参加者が、ハンズオンクラスでは、82.81 %の参加者、「大変役に立つ」、「役に立つ」と評価した。
G-1:ユーザのための BIM ~最先端 BIM ツールの実践的活用法
大和ハウス工業株式会社 伊藤 久晴 氏
IAI日本(セコム) 足達 嘉信 氏
このクラスでは、斜線・日影解析、構造解析、環境解析、可視化に活用できる「Revit と連動し、すぐに実務で使える BIM ツール」の紹介、最新の統合 BIM モデルや BIM の方向性について Autodesk Revit ユーザ会の会長でもある大和ハウス工業株式会社の伊藤 久晴氏と、IAI日本(セコム)の足達 嘉信氏が講義を行った。
このクラスは、「BIM がユーザにとっていかに役立つか、ユーザの視点に立って考えてみたい」というテーマである。RUG では BIM1.0 として BIM モデル(デジタルモデル)から“ほしい図面”を抽出することを目指し、BIM ツール連携が意匠・構造・設備モデルの統合を目指して「Revit User Group Japan Modeling Guideline 第一版」を制作。
さらに解析系のさまざまなツールと連携を目指して、BIM2.0 の活動を開始。本クラスでは、構造解析や日影解析、環境解析などを行うことができる BIM ツールが紹介された。
足達氏は、「今後は、施工や保守管理フェーズともデータ連携する方向でBIMがさらに展開していくでしょう。それには、BIM モデルの活用領域に応じて BIM データそのものの品質向上が必要になり、データチェック体制の整備や、受渡し情報の仕様定義することも課題となるでしょう」と語った。
最後に伊藤氏は、「BIM2.0 を実現するためには、強い意志も必要」とクラスを締めくった。
G-2、G-3:ここが知りたい!Revit 実践活用テクニック一挙大公開!
株式会社鴻池組 内田 公平 氏
美保テクノス株式会社 新田 唯史 氏
G-2、G-3 クラスでは、Autodesk Revit ユーザ会の副会長の株式会社鴻池組の内田 公平氏と、美保テクノス株式会社の新田 唯史氏がモデレータを務め、20 の実践活用テクニックが公開された。
東京と大阪で開かれた BIM ミーティングで、参加者のアンケートから選ばれた最も興味のある20のテクニックを披露。発表の合間にも、役立つテクニックが紹介されたり、会場から質問が飛んだりするなど、ユーザ同士が活発に情報交換し、ノウハウを教え合う、大変有意義な 2 時間となった。
このテクニック集は、後日 Autodesk Revit ユーザ会のホームページ にて公開予定!
G-4:BIM 導入事例と BIM 活用推進のポイント
株式会社安井建築設計事務所 佐藤 賢一 氏
美保テクノス株式会社 新田 唯史 氏
G-4 クラスでは、すでに BIM を導入している株式会社安井建築設計事務所の佐藤 賢一氏と美保テクノス株式会社の新田 唯史氏が、BIM を推進する上で重要なポイントを講義した。
1)安井建築設計事務所: 確認申請や実施設計にも活用したい
安井建築設計事務所で、BIM を定着させるために、社内で行ってきた実際の方法を披露。さらに、導入効果を提示し、上層部の説得にも有効だった具体例を語った。
安井建築設計事務所では、現在普及フェーズにあり、Revit を利用する設計者だけでなく、全社展開に取り組んでおり、今後の目標を、確認申請や実施設計でも BIM を役立てたいと語った。
佐藤氏は、「次なる“発展”のフェーズへ向けて、BIM の螺旋階段をここにいる皆さんと一緒に上っていきたい」と締めくくり、会場から盛大な拍手を受けた。
2)美保テクノス:施主とのやり取りがうまくいく
美保テクノスでは、Revit を技術者が建設にそれほど詳しくない民間企業にきちんと提案する部分で使い始め、BIM の長所や可能性に気づいたという。そして、現在すべてのプロジェクトで基本設計にRevitを利用しており、来春には、実施設計における利用率 70% を目指している。
そのため、月に 1 回の定期勉強会を開催。新人は、Revit を使いながら建築の知識を習得。一方のベテランに対しては、まずは Revit をさわってもらうことが重要というスタンスで臨んでいると語った。
業務で Revit を使用する最大のメリットは、施主とのコミュニケーションがうまくいくことだ。中でも内装の比較時に、さまざまな案を迅速に作れることで、イメージがふくらみやすくなること、またレンダリング時間が大きく短縮できることも有効だと語った。
「弊社は BIM に生き残りを賭けているといってもいいでしょう。BIM によるプロセス改善を図り、これからにつなげていきたい。幸い、施工の現場からも好評で、さらに浸透させていきたいと考えています」(新田氏)
G-5:企画提案必勝法! ~Revit デザイン&ビジュアライゼーション
株式会社ビム・アーキテクツ 山際 東 氏
株式会社鴻池組 内田 公平 氏
G-5 クラスでは、スピードと提案力が求められる企画段階において、計画とデザインの並行作業を可能にする BIM による新しい設計プロセスについて、株式会社ビム・アーキテクツの山際 東氏と、株式会社鴻池組の内田 公平氏が講師を務めた。
1)マスモデルを使ったコンセプトモデリング
マス床の面積を把握し、最大ボリュームを把握してから階数を検討できることを紹介。デモでは、鳥かご(最大ボリュームを可視化したもの)を例に、面積検討用のビューの作り方が披露された。
2)自由な形状で設計できるデザインフリーダム
面積検討用のビューに生まれた自由な空間の中で、基本空間構成から平面構成や立体構成を検討し、自由な形状による設計を可能にすることを紹介。「Revit の場合、マスモデルの下地さえあれば、建築の要素を貼り込むだけで、シェーディングモデルやレンダリングモデルまで一気に作ることができます」(山際氏)
3)コンセプチャルなデザインも表現できるデザイン&ビジュアライゼーション
シェーディング表現のモデルとレンダリング表現のモデルの使い分けや、アイレベルからのレビューの重要性、空間との調和を探るためや都市計画などに利用することもできる Google Earth を使った検討方法を披露。
続いて、内田氏がRevitで作成したデータを Autodesk 3ds Max に引き渡し、レンダリングやアニメーションの作成を行うデモを行った。内田氏は、実際に業務で使用している顧客から受けの良いプレゼンテーション動画も紹介。最後のフェードアウトや、建物名と関連づけたイメージ画像の挿入など、実際の業務に役立つ工夫を教えてくれた。
山際氏は、「BIM のデザインワークフローの可能性は非常に大きいと感じています。BIM にチャレンジすることこそ、企画提案必勝法かもしれません」と語った。
I-1~4:ハンズオントレーニング:Revit のガイドラインを使った充実したハンズオンを開催
Revit セミナーと並行して、Revit 初心者対象向けに、Revit のハンズオントレーニングも実施。2008 年 9 月に発行した「Revit User Group Japan Modeling Guideline 第一版」を基準に、Revit 操作の初歩から、ガイドラインを使用したモデリング演習、表計算・ビューの作成方法、さらには Revit を使いこなすためのファミリー作成のコツと作り方や、API による Revit コマンドの作り方など、短期間にもかかわらず、充実したユーザの満足度の高いレーニングだった。
Revit ハンズオントレーニングに参加の皆さんからのコメント
- 業務にすぐ生かせるのでよかった。
- 説明がわかりやすかった。作図上判断に悩む部位の解説が的を得ていた。
- 建具のみの集中講座を期待したい。
Revit クラスに参加の皆さんからのコメント